僕のシコウ

僕のただの“嗜好”であり、同時に“至高”の“私考”。この“思考”は今はまだ“試行”中であるが、僕の“志向”に繋がっている。

人工知能のコイビト

以前から興味があった西千葉哲学カフェに参加してきた。
西千葉哲学カフェは、大阪大学博士課程特任研究員で「Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲 (講談社文庫)」の著者でもある戸谷洋志さんが主催している哲学カフェで、1ヶ月に1回の頻度で西千葉駅から徒歩5分のMOONLIGHT BOOKSTOREで行なわれている。
学生限定のonecafeと違い参加者の年齢層が広く、社会人と学生が半分半分、男女比3:1、半分弱が新規といったところ。西千葉という立地からか、千葉大生が参加していたのが印象的だった。
10人を越える参加者を1人でファシリテーションするためにコミュニケーションボール&挙手制の形式を採用していた。
スタンダードな進行形式とは裏腹に、毎回ポップでタイムリーなテーマを扱っている前衛的な哲学カフェである。

今回は『人工知能を愛せるのか?』というやや現代的なテーマだったせいか参加者で予備知識の量に差があり、話が噛み合わない場面が多く見られた。
ファシリテーターも過干渉するタイプでもなく参加者に委ねられる部分が多かったので、前の人の意見に絡めた話をしている体をとってはいるものの全く関係ないことを発言をしている人が目立っていた。
自主的に挙手をしなければ発言をする機会はやってこないので、話し慣れている人がどんどん話していく。
このような“常連による占拠”はどの哲学カフェでも見られる傾向だろう。
しかしながら、主催者の人望の影響からか概ね民度は高かったと思う。


〜個人的なまとめ〜
愛には種類がある。人間に対する愛だけに限ったとしても、エーリッヒ・フロムの分類を借りるとすれば、母性愛、父性愛、兄弟愛、異性愛などに分けることができるし、それよりもさらに広げれば、ペットへの愛、所有物(無機物)への愛、神への愛など切りがない。
参加者の話を聞いていると大体の人が「愛する=異性愛」を前提として話しているように感じた。
たしかに成立が一番難しいと予想される愛は異性愛で、異性愛が成立するならそれ以外の愛も成立する可能性が高い。

人工知能が恋人になり得るのかという問いに答えるべく、まず人工知能と人間の違いを列挙する必要があった。
肉体、有限性、創造性、倫理観などが話題に上がったが、どれも愛を持つための絶対的な条件とは言えず反例がすぐに見つかった。
そもそも異性愛の対象に全員が共通して求める条件が存在しないのではないか。
恋人の最低条件を人工知能がパスできるのかは、人による。
人工知能を愛せるかを考えることは、自分の恋愛観を見つめ直すことができる問いだった。

 

今回の会で面白かったのは、人間に近づこうとする無機物の存在を話すと、人間信者と呼べる人の存在が露見することだった。
人間は神に創造された高尚な生き物であって、人工知能なんかにはできないことがたくさんあるはずという決めつけをもとに話す人が多かった。
一つずつ、人工知能が再現している人間らしさを説明するも、なかなか飲み込んではもらえなかった。

また、愛信者もたくさんいた。
最初からプログラムで意図された行動は愛ではないらしい。
人間が人に与える愛も意図されていることが多いのに。
コントロールされることへ異常に拒否反応を示すタイプの人たちなのだろう。

 

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