美のドーピング
クラックビー玉。
クラック、つまりひび割れが入っているビー玉だ。
小さい頃、児童館でよく作った。
熱してから、急に冷やす。
たったそれだけで元々綺麗なビー玉が、さらにキラキラ光り輝く。
不規則に入ったひびに光が乱反射する。
ただし、ひびが入っているのだから、当然脆い。
まさに、美のドーピング。
命を燃やして輝くのことは、それほど難しくないのかもしれない。
その輝きは時にダイヤモンドをも超えるから恐ろしい。
危なっかしさを見て笑い者にする人もいる。
いや、僕もその一人だな。
綿密に計算されたカッティングで半永久的な輝きを手に入れるには、
今からでもまだ間に合うだろうか。
それよりも先に、ガラスなのか原石なのかを調べないと。