僕のシコウ

僕のただの“嗜好”であり、同時に“至高”の“私考”。この“思考”は今はまだ“試行”中であるが、僕の“志向”に繋がっている。

バベルのトウ

上野の東京都美術館で開催されている「ボイマンス美術館所蔵ブリューゲルバベルの塔』展16世紀ネーデルラントの至宝 ボスを超えて」に行ってきました。

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オランダのボイマンス美術館から、16世紀ネーデルラントの絵画、彫刻、版画など約90点が来日しています。
ネーデルランド美術の細部まで緻密に描き込む技法を十分に楽しめる展示会になっていました。


【見所1】「放浪者」
初期ネーデルランド絵画史において最も特異な存在感を示す大画家であるヒエロニムス・ボスの数少ない現存する作品

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実はもともと三連祭壇画の一部ちょうど左右に開く部分に描かれていたため、よく見ると中央に繋げた跡が見えます。
旅をしながら行商をしている男を構図の真ん中に置いてはいるものの、背景の描写にも細かいこだわりがあることがわかりますね。

 

【見所2】「聖クリストフォロス」
これもヒエロニムス・ボスの作品。

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この絵の中で、聖クリストフォロスは少年を背負いながら、川を渡っている。背景とのサイズを見比べればわかるように、聖クリストフォロスは巨人です。巨人のクリストフォロスは、わが師と頼むものを求めて放浪の旅に出て、王や悪魔に仕えたりしたが、最後にキリストに出会って改心したらしいです。
強い者を自分の主にしたいって、なんかミニオンみたい。


【見所3】「バベルの塔
ピーテル・ブリューゲル1世の傑作で、日本では24年ぶりの公開だそうです。
展示会のタイトルになっていることからもわかるように、今回の目玉中の目玉

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ブリューゲルは少なくとも3回はバベルの塔を題材に絵を描いていて、その中でも最後に描かれた作品がこれにあたります。まさにバベルの塔の集大成ですね。
実際のサイズはそれほど大きくはないのですが、3倍に引く伸ばしても鑑賞できるぐらい緻密な描き込みがされています。
同展示会では、東京藝術大学のArts&Science LAB.が「Study of BABEL」と題して、精巧な複製画やプロジェクションマッピングを公開していて、これも見応えがありました。


バベルの塔の物語は旧約聖書の「創世記」11章に出てきます。
全ての地は、同じ言葉と同じ言語を用いていた。東の方から移動した人々は、シンアルの地の平原に至り、そこに住みついた。そして、「さあ、煉瓦を作ろう。火で焼こう」と言い合った。彼らは石の代わりに煉瓦を、漆喰の代わりにアスファルトを用いた。そして、言った、「さあ、我々の街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。あらゆる地に散って、消え去ることのないように、我々の為に名をあげよう」。主は、人の子らが作ろうとしていた街と塔とを見ようとしてお下りになり、そして仰せられた、「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」。主はそこから全ての地に人を散らされたので。彼らは街づくりを取りやめた。その為に、この街はバベルと名付けられた。主がそこで、全地の言葉を乱し、そこから人を全地に散らされたからである。


ブリューゲルの絵に描き込まれた人物の身長を170㎝と仮定すると、このバベルの塔は510mにもなるそうです。

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ブリューゲルが実際に見たことがある一番大きな建造物がイタリアのコロッセウム(48m)であることから考えると、ブリューゲルのイマジネーションの豊かさが伺えますね。


【見所4】「大きな魚は小さな魚を食らう」
ブリューゲルのボス風の作品。画面の左下に「創案者・ヒエロニムス・ボス」という銘を入れてボスの名声にあやかろうとしていました。

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「大きな魚は小さな魚を食う」という人間社会の弱肉強食を揶揄したことわざが元になっています。
マスコットキャラクター「タラ夫」のモデル。

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上野・東京都美術館では7月2日まで。7月18日〜10月15日、大阪・国立国際美術館で開催されます。ぜひ。

 

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あと、イアコッペのピスタチオまじ美味いからコレも!

 

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