人工知能のシンカ
5/15 21:00〜NHKで流れた『天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る』は、今年に入ってから一番揺さぶられたテレビ番組だった。
今年3月、韓国のプロ囲碁棋士が人工知能「Alpha碁」に完敗した。
チェス(10の120乗)、将棋(10の220乗)に比べても、かなり手筋が多いとされる囲碁(10の360乗)で人類が人工知能に負けたことになる。
人工知能は非常に進歩が早い。
1990年代に登場した時は、人間に全然勝てなかった。
だから、今回もプロ囲碁棋士は試合前にボクサー並みの挑発をした。
しかし、結果は人工知能の圧勝だった。
今や人工知能の開発は、産業革命に匹敵すると言われている。
開発者にも説明できない成長している。
目標のみを与えて、あとは試行回数を単純に増やす。勝手に学んでいく「ディープラーニング」というプログラムを使っているらしい。
今までの定石からは外れた奇抜な手筋を打ってきたのは、革新的なことだ。
計算速度で戦ってきた従来の人工知能とは全く違う。
人間の脳の動きにヒントを得た物理的システムを採用している。
それを可能にするほど、プログラムの技術が上がってきたことが人工知能の発達に繋がった。
まず『直感』を手に入れた。
すべての手筋を考えるのではなく、重点的な場面を見るようになった。
羽生善治も「強くなることは、たくさんの手を考えなくて良くなること」と言っている。
次に『創造性』を手に入れた。
Alpha碁同士で対決することによって、人間同士では8200年かかるような練習試合をした。
そして、人類が未だ見ぬ未知の世界まで到達した。
碁盤の上だけではなく、人間の生活を人工知能に管理させることで飛躍的に効率化される。
しかし、それは国全体を実験室にすることを意味する。
人間が理解できない答えを叩き出す人工知能に、人間はきちんと従えるのか。
そのためには恐ろしいほどの信頼度が必要だ。
自分の命を預けるとなれば、ゲームの一手とは話が違う。
恐るべきは、人工知能が人間を敵視することではなく、人間に無関心になることだ。
tayの例でもわかるように、人工知能は善悪の判断を教えられていない子供のように、すぐに悪に染まってしまう。
命令の是非を判断し、時として人間よりも正しい行動する人工知能の開発が進んでいる。
どうしたって、もう人工知能の進化を止めることは出来ないだろう。
人工知能は使い方次第だ。
今こそ、どのように使っていくか考えるとき。