怒りのキガカン
僕は怒るのが好きだ。
カッとなる。ムッとする。イラっとする。そんな自分に気付いたときに僕はワクワクする。また少しだけ自分を知ることができるから。
アンガーマネジメントの大鉄則とされるように、大抵の怒りは数秒だけ我慢すればいとも簡単に萎んでしまう。
それでも怒りは突発的な側面がある分、他の感情に比べて圧倒的に検知がしやすい。だから自分自身を知るキッカケにうってつけの感情と言えるだろう。
一般的に怒りは鎮めるべき感情で、時間に任せて放っておいたり、どうにかして忘れたり、人にぶつけたりするらしい。そのどれもが僕からしたらもったいない。
せっかく自分を知れるチャンスなんだから、ひとつも取り逃がさず味わい尽くしたい。
怒りは幾多の一次感情が絡み合った複合的な二次感情だ。そのパズルを丁寧に紐解いていく作業を怠らず、構成する一次感情と立体的な構造の解析が上手くいけば、怒りを制御することは実に容易い。だから怒りに真摯に向き合っていると同じことでは怒れなくなる。
そうして徐々に怒らない温厚な人間になっていくが、それは決して鈍感になったわけではなく、自分に詳しくなったから怒りを介さずに他の感情として処理するようになったと言った方が正確だろう。
近場の怒りを喰らい尽くし飢餓感に襲れた僕は、まだ見ぬ怒らせ方をしてくれる刺激を求めて歩き彷徨っている。
怒りたい。怒らせてほしい。
自分をもっと知りたい。